

ブラウザの録画機能を使って動画を書き出すと、思いがけない壁にぶつかることがあります。出来上がったファイルがWebM形式であるために、Instagramをはじめとする一部のSNSや編集ソフトでは、そのままでは受け付けてもらえないというケースです。せっかく仕上げた映像が、形式ひとつで足止めを食う。この不便さを解消するため、RED IGUANA STUDIOでは無料のWebM→MP4変換ツール「POST WAVE」を公開いたしました。
POST WAVEとは
きっかけは、当スタジオが制作した無料オーディオビジュアライザー「VIZ WAVE」でした。VIZ WAVEはブラウザの録画機能を使って動画を書き出す仕組み上、出力がWebM形式に固定されます。ところが、この形式のまま次の工程へ進もうとすると、対応していないSNSや編集ソフトが少なくないことに気づかされました。そこで、WebMをMP4へ変換するためのツールとしてPOST WAVEを開発した次第です。
変換サービスの多くが採用しているファイルアップロード方式とは異なり、POST WAVEは処理をブラウザ内(ローカル)だけで完結させる仕組みを採っています。中身には、動画処理の定番ツール「ffmpeg」をブラウザ上で動かせるようにしたffmpeg.wasmというライブラリを採用しており、サーバーを介さずに変換そのものを手元の環境だけで完結させることが可能になりました。
主な機能
- ファイルはサーバーに送信されない:変換処理はすべてブラウザ内で完結するため、アップロードの待ち時間が発生せず、外部に送信される心配もありません
- ドラッグ&ドロップで簡単操作:ファイルを画面に置くだけで変換が始められます。対応形式は入力がWebM(VP8/VP9/AV1映像+Opus/Vorbis音声、音声なしのファイルにも対応)、出力はMP4(H.264映像+AAC音声)で、ファイルサイズの上限は500MBです
- 3つの変換モード:用途に応じて選べます
| モード | 特徴 |
|---|---|
| 高画質(低速) | 圧縮効率を優先。ファイルサイズは小さめですが変換に時間がかかります |
| 標準 | 速度と画質のバランスがよく、迷ったらこちらがおすすめです |
| 高速(低画質) | 変換が最も速い一方、ファイルサイズはやや大きめになります |
- 日本語・英語の表示切り替え:画面右上のボタンでワンクリックで切り替えられ、選んだ言語はブラウザに記憶されます
- ファイル名の自由編集:変換後のファイル名はそのつど編集でき、元のファイル名の拡張子だけを.mp4に差し替えることも可能です
目安として2分程度の動画であれば、高画質モードは数分、標準モードは1〜3分程度、高速モードは30秒前後で変換が完了します(処理時間はパソコンの性能により変動します)。
こんなことにお使いいただけます
- VIZ WAVEで書き出したWebM動画を、Instagramなど各種SNSに投稿できる形式に変換する
- 画面録画ソフトなどで生成したWebMファイルを、編集ソフトが読み込める形式に整える
- 音声のないWebM動画(画面キャプチャ等)をそのままMP4化する
いずれも、変換そのものは決して難しい作業ではありません。ただ、形式が合わないというだけで公開や編集の手前で足踏みしてしまうのは、もったいないことだと感じます。
使い方
- ドラッグ&ドロップエリアにWebMファイルをドラッグ&ドロップ、またはクリックして選択する
- 3段階の変換モードから用途に合わせて一つを選ぶ
- 「変換開始」を押して待つ
- 完了したら「MP4をダウンロード」を押す
なお、WebM動画に長さの情報が含まれていない場合、進捗はパーセント表示ではなく「経過秒数」の表示に切り替わることがあります。これは処理が止まっているのではなく、正常に変換が進んでいる状態ですので、そのままお待ちいただければと思います。
利用について・ご注意
動作環境:Google Chrome・Microsoft Edge・Mozilla Firefoxの最新版(PC専用ツールです)
また、初めて変換を行う際には変換エンジン(数十MB)の読み込みが発生するため、回線状況によって数秒から数十秒ほどお待ちいただく場合があります。本ツールは現状のまま提供しており、動作の完全性や継続的な提供を保証するものではない点もあわせてご了承ください。
ツールは以下のページから、どなたでもすぐにお使いいただけます。
RED IGUANA STUDIOとしての見解
同じ映像であっても、器が変われば、届く先も変わります。WebMという器のままでは通れなかった場所に、MP4という器へ移し替えることで届くようになる。これは、言葉を変えて相手に伝える通訳の仕事にどこか似ています。中身、つまり映像そのものの価値は何も変わらないのに、形式という「言語」が合わないだけで、届けたい相手にたどり着けない。POST WAVEが担っているのは、その器そのものを静かに作り替えるという、地味ながら確かな仕事です。
技術は日々更新され、対応形式やSNSの仕様もまた変わり続けます。だからこそ、作り手が抱えた映像を、必要な形にいつでも整え直せる手段を持っておくことには意味があると私たちは考えます。VIZ WAVEで生まれた映像がPOST WAVEを経て世に出ていくように、これからも制作の流れの中で生じる小さな不便を一つひとつ拾い上げ、形にしてまいります。



