[SHURE ( シュアー) / 55SH Series II]新規機材導入



RED IGUANA STUDIOで新規導入を行った機材のご紹介を致します。
導入を行って欲しい機材リクエストなどございましたらお気軽にお問い合わせください。
| 機材カテゴリー | ダイナミックマイクロフォン |
| 導入日 | 2026-3-19 |
| メーカー名 | SHURE ( シュアー) |
| 製品名 | 55SH Series II |
| 個 数 | 1個 |
| レンタル/貸出 | 可能 |
1. あの「ガイコツマイク」が、現代仕様で仲間に加わりました
RED IGUANA STUDIOの機材コレクションに、またひとつ、音楽史と切り離せない一本が加わりました。今回導入したのは、50〜60年代のクラシックな外観をそのままに、現代のパフォーマンス基準に対応した音響設計を内包した 「SHURE 55SH Series II」 です。
以前に導入したビンテージ機材 SHURE Model 55S(1951年製) は、55シリーズの血統における「本家」とも言える存在。その兄弟機にあたる 55SH Series II は、1989年頃から続く現行ラインの中核モデルであり、外観の「レトロ」と内部の「現代」が共存する、非常にユニークなマイクロフォンです。
この記事では、55シリーズの系譜における 55SH Series II の立ち位置、Model 55Sとの関係、そして現代のスタジオでの活用法まで、公式スペックシートを元に詳しく解説します。
2. 55シリーズの系譜:「ガイコツマイク」という名の遺産
SHURE 55シリーズは、1939年に誕生した「Model 55 Unidyne」を起点とする、世界で最もアイコニックなマイクロフォンファミリーのひとつです。その流線型の筐体は「ガイコツマイク」の愛称で世界中に親しまれ、エルヴィス・プレスリーやフランク・シナトラといった20世紀を代表するアーティストたちの傍らに常に寄り添ってきました。
55シリーズの主な変遷
- Model 55(1939年〜): 通称「ファットボーイ」。世界初の単一指向性ダイナミックマイク。独自の「Uniphase(ユニフェイズ)」原理を搭載。
- Model 55S(1951年〜): 「Small Unidyne」。性能を維持しながら筐体を約半分に小型化。当スタジオにも1951年製のオリジナル個体を所有。
- 55SH Series II(1989年頃〜): 現行モデル。外観は55シリーズの意匠を継承しつつ、内部はモダンな音響設計を採用。XLR端子で接続可能。
- Super 55(2009年〜): スーパーカーディオイドを採用した高出力・ワイドレンジモデル。青いスポンジが特徴。
55SH Series II が55シリーズの中で担うのは、「伝統の美しさと現代の実用性を両立させる橋渡し役」です。ビンテージ個体が持つ扱いの難しさを取り除きながら、あの唯一無二のシルエットを現代のステージやスタジオに持ち込める——それがこのモデルの本質です。
3. 「外はレトロ、中はモダン」:55SH Series II の設計思想
外観こそ1939年の初代モデルを彷彿とさせるクロームダイキャストの重厚なボディを纏っていますが、内部にはモダンな音響設計が組み込まれています。これにより、下記の実用的なメリットが生まれています。
- 標準XLRバランス出力: 75〜300Ω負荷のマイク入力に対応。ビンテージ個体のような特殊なアダプターや変換ケーブルは不要。
- ファンタム電源不要: ダイナミック型のため、どのマイクプリアンプにも接続可能。
- カートリッジショックマウント搭載: マイクスタンドから伝わるノイズを抑制し、静かな操作を実現。
- セルフテンショニング式スイベルマウント: 前方45°〜後方80°の範囲で角度調整が可能。
- ON/OFFスイッチ搭載: ライブパフォーマンスでの実用性を確保。
- クロームダイキャスト金属製ボディ: 磨耗や濫用に耐える堅牢なメカニカル設計。
「クラシックな外観とモダンなパフォーマンス」——これが 55SH Series II の設計哲学であり、SHURE自身が公式に掲げるコンセプトです。
4. SHURE 55SH Series II テクニカルスペック
| 型式 | ダイナミック型(ムービングコイル方式) |
|---|---|
| 指向特性 | カーディオイド(単一指向性) |
| 周波数特性 | 50Hz ~ 15,000Hz |
| 出力インピーダンス | EIA定格 150Ω(実効値 270Ω) |
| 感度 | -58.0 dBV/Pa(@1kHz、開回路電圧) |
| 極性 | 2番ピン正(ダイヤフラムへの正圧で3番ピンに対し正電圧) |
| コネクター | XLR 3ピン・オス |
| 質量 | 0.624 kg(1.37 lb) |
| 外装 | クローム仕上げダイキャスト |
| 付属品 | 3/8″ → 5/8″ 変換ネジ |
オプション・交換パーツ
| C25J | オプションケーブル(XLR-XLR、7.6m) |
|---|---|
| R115 | 55SH Series II 用交換カートリッジ |
| R115S | Super 55 用カートリッジ |
| 36A172 | 内部ウィンドスクリーン フォームインサート(フロント用) |
| 36A173 | 内部ウィンドスクリーン フォームインサート(リア用) |
内部ウィンドスクリーンについて
この内部フォームは経年劣化でボロボロになりやすい消耗品です。純正品(36A172 / 36A173)は入手性・価格の面でやや難があるため、当スタジオでは適切な厚みのウレタンフォームを自分でカットして交換対応しています。ホームセンターで手に入るオープンセルのウレタンフォームで十分代用できますが、いずれにしても定期的なメンテナンスが必要な部位であることは覚えておいて損はないでしょう。
スーパーカーディオイド特性による実用性
公式スペックシートの「特長」欄には、「均一なスーパーカーディオイド特性により、広いフィードバックマージンの確保と、収音軸外の音の優れた排除性」 と明記されています。
指向性の仕様表記は「カーディオイド」ですが、その実用特性はスーパーカーディオイドに近い設計となっており、マイク背後の収音を効果的に抑制。フィードバック(ハウリング)を起こすことなくラウドスピーカーに近接して使用でき、無指向性マイクでは対応が難しい悪条件の音響環境においても安定したパフォーマンスを発揮します。
SHUREのプレゼンスピーク
55SH Series II には、SHUREが長年培ってきた 「プレゼンスピーク」 が設計に組み込まれています。スピーチやボーカル、楽器に適した周波数特性として設計されたこのマイクは、マイク単体でも輪郭のある、芯のあるサウンドを実現します。PA出しのステージはもちろん、レコーディングにおいても「自然な存在感」として機能します。
5. Model 55S(1951年)との比較:兄弟機の「共通点」と「差異」
当スタジオでは、今回の 55SH Series II 導入に先立ち、1951年製のオリジナル 「SHURE Model 55S(Small Unidyne)」 を所有しています。外観の意匠を共有するこの二本は、いわば「同じ血を引く兄弟機」です。
| Model 55S(1951年) | 55SH Series II | |
|---|---|---|
| 製造年代 | 1951年〜 | 1989年頃〜 |
| カートリッジ | オリジナル Uniphase 設計 | モダン音響設計 |
| 指向特性 | Ultra-Cardioid | カーディオイド(スーパーカーディオイド相当) |
| 接続端子 | アンフェノール 3ピン(特殊) | XLR 3ピン(標準) |
| 音の傾向 | ビンテージ・サチュレーション、温かみのある中域 | フラット寄り、明瞭なプレゼンスピーク |
| 運用の手間 | 特注変換ケーブルが必要 | 標準機材でそのまま接続可能 |
| マウント | 固定 | セルフテンショニング式(前方45°〜後方80°) |
| 用途 | ボーカル・ルームマイク・テクスチャ素材 | PA・放送・レコーディング全般 |
同じシルエット、異なる「声」。 1951年製がもたらす「時代の空気を纏った音」と、55SH Series II が持つ「現代の基準を満たす音」——この二本を状況に応じて使い分けられる環境が、RED IGUANA STUDIO に整いました。
6. RED IGUANA STUDIOでの活用シナリオ
公式スペックシートには「拡声(PA)や劇場ステージの音響システム、放送、レコーディングなど、クラシカルなスタイルのスタンドマイクが好まれる音響用途に理想的」と記載されており、その守備範囲は非常に広いものとなっています。
ボーカル・レコーディング
SHUREのプレゼンスピーク特性により、レコーディング環境でも自然で輪郭の立ったボーカルサウンドを実現します。コンデンサーマイクとは異なる「ダイナミック型ならではの圧力感」を求めるボーカリストに適した選択肢です。
ステージ・ライブ収録
スーパーカーディオイド相当の高いフィードバック耐性は、ライブ環境での収録に最適です。見た目のインパクトもあり、映像を伴う収録では「ビジュアルとしてのマイク」としても機能します。
ポッドキャスト・配信・ナレーション
スピーチに適した周波数特性と、扱いやすい標準XLR接続は、配信環境でのナレーション収録にも適しています。ショックマウント内蔵でハンドリングノイズも抑えられるため、安定した収音が可能です。
「ビジュアルとしての機材」
55シリーズのアイコニックなシルエットは、ミュージックビデオや映像作品、アー写撮影などで「絵になる機材」としての価値も持ちます。RED IGUANA STUDIOでのビデオ制作案件においても、ビジュアル面での存在感は大きな武器となります。









7. 最後に…
「ビンテージの 55S は、扱うたびに『時代の重み』を感じさせてくれるマイクです。一方で、今回導入した 55SH Series II は、その重みを纏いながらも、現代の現場でそのまま使える実用の一本。
外観は同じ血筋、でも中身は全く異なる——この二本がスタジオに揃ったことで、選択肢の幅が大きく広がりました。
『あのガイコツマイクで録りたい』という方はもちろん、見た目にも音にもこだわりたいという方は、ぜひ一度ご相談ください。」


※その他機材などは下記の機材リストからご覧頂けます。

