[Royer Labs(ローヤーラボズ)R-122] 新規機材導入
RED IGUANA STUDIOで新規導入を行った機材のご紹介を致します。
導入を行って欲しい機材リクエストなどございましたらお気軽にお問い合わせください。



| 機材カテゴリー | リボンマイクロフォン |
| 導入日 | 2019-5-10 |
| メーカー名 | Royer Labs(ローヤーラボズ) |
| 製品名 | R-122 |
| 個 数 | 1個 |
| レンタル/貸出 | 可能 |
リボンマイクロフォンとは
マイクロフォンには大きく分けてダイナミック型・コンデンサー型・リボン型の3種類があります。リボンマイクは、薄いアルミ箔(リボン)を磁界の中に張ったシンプルな構造が特徴で、その動作原理はダイナミックマイクと同じ電磁誘導ですが、振動体の軽さと薄さから、他の方式とはひと味違うサウンドキャラクターを持っています。
リボンマイクが持つ最大の特長は、自然でウォームなサウンドです。コンデンサーマイクが高域の繊細な成分まで鮮明に捉えるのに対し、リボンマイクは高域が滑らかにロールオフする特性があり、耳に刺さるような痛さがありません。デジタルレコーディングが主流となった現代において、「録り音がデジタル臭い」「高域がキツい」という悩みに対してリボンマイクは非常に有効な解決策となります。
また、リボンマイクの多くは**双指向性(フィギュア・エイト)**の指向パターンを持ち、マイクの前後から音を拾い、真横は完全に拾わないという特性を持ちます。これを活かしてMS録音や部屋の空気感を捉えることができ、アンビエント収音にも優れています。
かつてリボンマイクは「壊れやすく、扱いにくい」というイメージが強く、スタジオの棚の奥に眠らせてある機材の代名詞でもありました。しかし現代のリボンマイクは素材と設計の進化により、高SPL耐性・耐久性ともに大きく向上しています。
ファンタム電源とリボンマイクの関係
通常のパッシブリボンマイクは、アルミリボンと出力トランスだけで音を拾う非常にシンプルな構造のため、ファンタム電源(+48V)を必要としません。それどころか、古典的なリボンマイクにファンタム電源を誤って送ってしまうと、リボンエレメントが損傷するリスクがあると言われてきました(ケーブルの配線が正常であれば問題ないケースがほとんどですが、古い機材では注意が必要です)。
一方でパッシブリボンマイクは出力レベルが非常に低く、ハイゲインかつ低ノイズのプリアンプを必要とするため、組み合わせるプリアンプを選ぶという扱いにくさがありました。
そこへ登場したのが、今回導入したR-122です。R-122は世界初のアクティブリボンマイクロフォンとして2002年にリリースされました。ファンタム電源を積極的に利用し、内蔵のFETアンプ回路とトロイダルトランスフォーマーがインピーダンス変換を行うことで、約13dBものゲインを追加。コンデンサーマイクに匹敵する出力レベルを実現しています。この回路はあくまでインピーダンス変換のみを行いノイズを加えないため、リボンマイク本来のサウンドキャラクターはそのままです。また、リボンエレメント自体はファンタム電源・誤配線・電気的なグリッチによって損傷しない設計になっており、扱いやすさも大幅に向上しています。
リボンマイクロフォンの歴史
リボンマイクロフォンは約100年の歴史を持ちます。誕生から一度の衰退、そしてデジタル時代における復権まで、その歩みを年表で振り返ります。
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 1920年代初頭 | ドイツのTelefunkenでWalter H. SchottkyとErwin Gerlachが世界初のリボンマイクロフォンを発明 |
| 1931年 | RCAのHarry F. OlsonがRCA Photophone Type PB-31を商業生産。ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールに採用される |
| 1932年 | RCA 77A を正式発表。2本のリボンと音響迷路を備えた単一指向性の大型モデル |
| 1931〜1933年 | RCA 44Aを発売。双指向性(フィギュアエイト)でシンプルかつ低価格。フランク・シナトラやエルヴィス・プレスリーが前に立った「あの形」のマイクとして世界中に定着 |
| 1930〜50年代 | ラジオ・テレビ放送・映画スコアリングの現場でRCA 44・77が標準マイクとして君臨。リボンマイクの黄金時代 |
| 1950〜60年代 | より高域まで伸びるコンデンサーマイクロフォンが台頭。リボンマイクは徐々に時代遅れとみなされ始める |
| 1976年 | RCAがリボンマイク部門を閉鎖。以降はヴィンテージ機材として愛好家の間で大切にされる存在に |
| 1976年 | Wes DooleyがAEA(Audio Engineering Associates)を設立。RCAリボンマイクのメンテナンス・修理を引き継ぐ |
| 1990年代後半 | デジタルレコーディングの普及により、コンデンサーマイクの高域がハーシュに聞こえる問題が顕在化。エンジニアたちがリボンマイクを再発見 |
| 1997年 | David RoyerがR-121のプロトタイプを設計 |
| 1998年 | Royer LabsがR-121をリリース。AEAがRCA 44の復刻版R44Cを発売。現代リボンマイクの新時代が幕を開ける |
| 2002年 | Royer LabsがR-122を発売。世界初のアクティブリボンマイクロフォン(ファンタム電源駆動)として業界に衝撃を与える |
| 2013年 | Royer LabsがRecording AcademyよりテクニカルグラミーアワードをR-121の功績により受賞 |
Royer Labsについて
Royer Labsは1998年、David Royerの独自のモダンリボンマイクロフォン設計を世界に届けるために設立されました。
その創業の背景には、David Royer自身の数十年にわたる探求がありました。海軍に4年間勤務し、ソナー技術者として電子工学と音響学を磨いたDavidは、退役後にカリフォルニア州フラートンの自宅ガレージでMojave Audioを立ち上げ、アンプの改造やコンデンサーマイクの自作を行っていました。そのガレージ時代に修理を必要とするReslo製のリボンマイクに出会い、リボンマイクロフォンへの深い関心が芽生えました。
Davidは1997年に初のリボンマイクを設計し、友人のRick Perrottaに見せました。その後、MatchlessギターアンプのプレジデントでありコファウンダーであったRick Perrotta、スタジオオーナーのRafael Villafane、ミュージシャン兼マーケティングディレクターのJohn Jenningsとともに、Royer Labsが誕生しました。
創業当初、リボンマイクはほぼ忘れ去られた存在でしたが、最初の製品R-121とSF-12はたちまち世界中のレコーディングファンの心を掴みました。この新世代のリボンマイクは、エンジニアたちがリボンのウォームさとアナログ的な質感を再発見していたデジタルレコーディングの台頭と見事に合致しました。
2013年にはRoyer LabsはテクニカルグラミーアワードをRecording Academy(グラミー賞を主宰する組織)から受賞。R-121とリボンマイクをスタジオの必須ツールとして復権させた功績が認められました。
2025年にはSounds Great Holdings, LLCによる買収が発表されましたが、本社はバーバンクに留まり、リボンマイクロフォンへの注力は継続されるとアナウンスされています。すべての製品は現在もバーバンクの自社工場で手作業によって製造されており、創業から変わらないクラフトマンシップが守られています。
製品について
Royer Labs R-122は、2002年に世界初のファンタム電源駆動式アクティブリボンマイクロフォンとして登場した、レコーディング史に名を刻む一本です。パッシブリボンの代表格であるR-121と同じオフセットリボントランスデューサーを採用しながら、独自のアクティブエレクトロニクス回路により約13dBものゲイン増加を実現。コンデンサーマイクに匹敵する出力レベルを持ちながら、リボンマイクならではの豊かで自然なサウンドキャラクターをそのまま継承しています。
カリフォルニア州バーバンクの自社工場で手配線されたその内部には、専用設計のトロイダルトランスフォーマーとウルトラローノイズFETによる完全バランス型ディスクリートヘッドアンプを搭載。このアクティブ回路がリボンエレメントに常に最適なインピーダンス負荷を与えることで、接続するプリアンプの特性に左右されることなく安定したパフォーマンスを発揮します。プリアンプ選びで頭を悩ませることが多い従来のリボンマイクとは一線を画す、現代のスタジオワークフローに即したモデルです。
2.5ミクロンの純アルミニウムリボンエレメントは、ボディフロント側(ロゴ面)にオフセット配置されており、これにより高SPL収音時のダイナミックレンジを最大限に確保。エレクトリックギター・アコースティックギター・ドラムオーバーヘッド・ブラス・ストリングス・ウッドウィンドなど幅広い音源に対応し、フェーダーを上げた瞬間に自然でリアルな音像が広がるのがRoyerリボンの真骨頂です。
今回導入したのはMKII以前の無印モデル。パッドやローカットフィルターのスイッチ類を持たないシンプルな構成ながら、そのピュアなサウンドは多くのエンジニアに愛用され続けています。ウッドケース付属という点も、所有する喜びを感じさせる一本です。
どんな用途に向いているか
R-122はその高出力・低ノイズ・広いSPL耐性から、スタジオ収音のあらゆる場面で活躍します。リボンマイクらしい滑らかな高域と豊かな中低域が特に映えるのは以下のような音源です。
エレクトリックギターアンプ 歪んだギターアンプの”刺さり”をほどよく丸め、ミックスに馴染みやすい音像に仕上げます。高SPLにも動じないため、大音量のスタック系アンプも余裕でこなします。SM57などのダイナミックマイクと組み合わせるブレンド収音も定番の手法です。
ブラス・管楽器 トランペットやサックスの金属的な輝きを残しながら、耳障りなピーク感を自然に抑えてくれます。アルバムやライブの金管セクション収音でRoyerリボンが選ばれ続けている理由がここにあります。
ドラムオーバーヘッド・ルームマイク シンバルの耳をつく高域をナチュラルにコントロールしつつ、部屋の空気感を豊かに捉えます。双指向性パターンを活かせばルームマイクとしてMS録音の応用も可能です。
アコースティックギター・弦楽器 木の鳴りや倍音の豊かさをリアルに再現します。コンデンサーマイクでは出すぎに感じる高域のトランジェントも、R-122を通すと自然な落ち着きが生まれます。
ボーカル 近接効果による低域の豊かさと、高域の滑らかなロールオフがボーカルに独特のウォーム感とボディを与えます。コンデンサーマイクとは異なる「ヴィンテージ感のある質感」を求めるときに有効です。
RED IGUANA STUDIOでの活用例
当スタジオでは、R-122を以下のシーンで積極的に活用しています。
ギターアンプ収音 アンプの正面にセットし、高域が暴れがちな歪みサウンドをコントロール。SM57と組み合わせてブレンドすることで、輪郭とウォームさを両立したギタートラックに仕上げます。ロック・ブルース・カントリーなど幅広いジャンルで重宝しています。
ボーカル録音 コンデンサーマイクでは少し線が細くなりがちなボーカリストに対して、R-122を選ぶことがあります。中低域に豊かなボディが乗り、歌が自然と前に出てくる感覚があります。プリアンプとの相性も選ばないため、セッティングがスムーズです。
アコースティックギター 弦の繊細なニュアンスはしっかり捉えながら、ピックアタックの耳障りな「カリッ」とした成分が自然にまとまります。弾き語りのレコーディングではボーカルとのなじみも抜群です。
試聴も可能ですので、是非お問い合わせください。






スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 動作原理 | 電気動力式圧力勾配型(アクティブエレクトロニクス) |
| 指向性 | 双指向性(フィギュアエイト) |
| リボンエレメント | 2.5ミクロン 純アルミニウムリボン |
| マグネット | レアアース ネオジウム |
| 周波数特性 | 30Hz – 15,000Hz(±3dB) |
| 感度 | -39dBV/Pa |
| 自己ノイズ | 20dB以下 |
| 出力インピーダンス | 200Ω(バランス) |
| 最大SPL | 135dB以上 |
| 電源 | 48V ファンタム電源 |
| 消費電流 | 4mA |
| 本体サイズ | 206mm × 25mm |
| 重量 | 約309g |
| 付属品 | ウッドケース、マイクソック、マイクリップ |
| 保証 | ボディ・トランスデューサー・トランスフォーマー:生涯保証(オリジナルオーナー)/リボンエレメント:初回交換無償 |
※その他機材などは下記の機材リストからご覧頂けます。


