[AKG(アーカーゲー)C414B-ULS] 機材紹介
RED IGUANA STUDIOで新規導入を行った機材のご紹介を致します。
導入を行って欲しい機材リクエストなどございましたらお気軽にお問い合わせください。



| 機材カテゴリー | ラージフラムコンデンサーマイクロフォン |
| 導入日 | 2018-2-10 |
| メーカー名 | AKG(アーカーゲー) |
| 製品名 | C414B-ULS |
| 個 数 | 2個(マッチドステレオペア) |
| レンタル/貸出 | 可能 |
詳 細
AKGとはどんな会社か:「音楽の都」ウィーンから始まった音響の歴史
AKGの正式名称は「Akustische und Kino-Geräte Gesellschaft m.b.H」——ドイツ語で「音響・映画機器会社」を意味し、その頭文字を取ってAKGと呼ばれます。1947年、第二次世界大戦直後のオーストリア・ウィーンにて、物理学者であり音楽家・画家・発明家と多彩な顔を持つラドルフ・ゲリケ博士と、エンジニアのエルンスト・プレスの2人によって創業されました。
創業当初は映画関連の音響機器を製作していましたが、まもなくラジオ局や劇場向けのマイクロフォンで頭角を現し始めます。1950年代にはバディ・ホリーやエラ・フィッツジェラルドといった当代最高のアーティストたちがAKGのマイクを愛用。ノイマンと並ぶマイクロフォンの双璧として世界のスタジオに名を轟かせていきました。
その後、1994年にアメリカのハーマン・インターナショナル傘下に入り、2017年にはハーマンごとサムスン電子に買収されたことで本社はウィーンからロサンゼルスへ移転。長年の歴史を刻んだウィーン工場は閉鎖されましたが、その技術を引き継いだウィーンのエンジニアたちが独立してAustrian Audioを立ち上げるなど、AKGのDNAは今も生きています。創業から約80年、1,200を超える特許と数々の名機を世に送り出したAKGは、現在もプロ音響の世界における最重要ブランドのひとつです。
AKGの代表的なマイクロフォン
AKGはその歴史の中で、時代を超えて愛される数々の名機を生み出してきました。その中でも特に重要な代表作を紹介します。
C12(1953年):AKGを世界へ押し上げた伝説の真空管マイク
1953年に発表された真空管式コンデンサーマイクロフォン。ふくよかさと繊細な切れ味を併せ持つサウンドは、ノイマンU47と並ぶヴィンテージマイクの最高峰として今日でも語り継がれます。AKGを一躍トップメーカーへと押し上げた記念碑的な一台であり、現在も「C12 VR」として後継機が生産されています。後のC414シリーズへと続くすべての系譜は、このC12から始まっています。
C451(1969年):シンバルとアコースティックギターの定番スモールダイアフラム
ペンシル型のスモールダイアフラム・コンデンサーマイクロフォン。カプセル交換によって様々な特性に変えられる設計が特徴で、シンバル・アコースティックギター・ピアノなどの繊細な音場再現に定評があります。現行の「C451B」へと続く人気モデルです。
D112(1986年):キックドラムの「標準装備」ダイナミックマイク
バスドラム(キックドラム)専用として設計されたラージダイアフラム・ダイナミックマイクロフォン。タイトなアタックと圧倒的な低域表現は業界標準とも言える存在で、世界中のスタジオとライブ現場でキックマイクの筆頭として選ばれ続けています。現行の「D112 MKII」も多くのエンジニアに愛用されています。
C414シリーズ(1971年〜):世界のリファレンスマイク
1971年の初登場以来、マルチパターンのラージダイアフラム・コンデンサーマイクとして世界中のスタジオに普及した不朽の名シリーズ。詳細は後述の比較表をご覧ください。
半世紀を超えて愛され続ける「スタジオの基準」:C414シリーズの系譜
「C414」シリーズは、1971年の初代モデル登場以来、半世紀以上にわたってプロのエンジニアたちに選ばれ続ける伝説的なラインナップです。その原点はさらにさかのぼり、1962年発売のC12Aにあります——C12のサウンドキャラクターをそのまま受け継ぎながら、現在のC414と同一形状のハウジングに収めたこのモデルが、C414シリーズの真の祖先です。
モデルチェンジを重ねながらも「原音に忠実でフラットな特性」「あらゆるソースに対応できる懐の深さ」という本質的な哲学は変わらず、世界中のスタジオでマイクの性能を比較する際の「基準点(リファレンス)」として使われてきました。
今回当スタジオに導入した「C414B-ULS」は、そのC414シリーズの中でも特に名高いモデルです。ULSとは「Ultra Linear Series(超直線性シリーズ)」の略称であり、出力トランスフォーマーを搭載した最後の414として、現代モデルにはない独特のキャラクターと深みを持ちます。
C414シリーズ 全モデル比較表
| モデル名 | 発売年 | トランス | 指向性 | サウンドの特徴 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| C414 combo | 1971年 | あり | 4種類 | C414の初代。専用ケーブル直付けという特殊な形状。C12の流れを汲む素直なサウンド | 生産終了 |
| C414 EB | 1976年 | あり | 4種類 | 初めてXLRコネクター採用。シルバーボディが特徴。C12系譜の繊細な高域が多くのファンを持つビンテージの名機 | 生産終了 |
| C414 EB-P48 | 1980年 | あり | 4種類 | 初のブラックボディ。セルフノイズ低下によるヘッドルーム向上。ドラムや金管楽器にも使いやすくなった転換点モデル | 生産終了 |
| C414 B-ULS | 1986年 | あり | 4種類 | ULS(超直線性)回路を搭載。フラットで素直な特性を追求したトランスフォーマー搭載最後のモデル。世界中のリファレンスマイクとして普及 | 生産終了 |
| C414 B-TL | 1986年 | なし | 4種類 | B-ULSと同年発売のトランスレスモデル。よりクリアでモダンなサウンドキャラクター | 生産終了 |
| C414 TL II | 1993年 | なし | 4種類 | 1950〜70年代のオリジナルカプセルを意識したプレゼンス感のある設計。中古市場でも高評価 | 生産終了 |
| C414 XLS | 2004年 | なし | 9段階 | B-ULSのサウンドキャラクターを継承した現行フラッグシップ。高いリニアリティとニュートラルな特性。指向性が9段階に進化 | 現行品 |
| C414 XLII | 2004年 | なし | 9段階 | C12のサウンドを意識した4kHz以上のプレゼンスブースト。ボーカルや弦楽器の艶と抜けを重視するエンジニアに人気 | 現行品 |
「トランスフォーマー搭載」がもたらすサウンドの個性
C414B-ULSが現行モデル(XLS / XLII等)と決定的に異なる点が、出力トランスフォーマーの存在です。
トランスフォーマーレス設計が主流となった現代のマイクロフォンは、クリアで超低ノイズな特性を持ちます。一方、C414B-ULSのようなトランスフォーマー搭載モデルは、そのトランスフォーマーの物理的な挙動が音に独特の「密度感」「太さ」「粘り」をもたらします。決して誇張された色付けではなく、音楽的に心地よいほどよい「ヴィンテージ感」と表現するのが最も近いかもしれません。
フラットでクリアな現代マイクとはまた異なる、「そこに音が存在する」と感じさせるリアリティのある質感——それがC414B-ULSをして「伝説」と呼ばれる所以です。
なお、かつてトランスフォーマー搭載モデルが選ばれる実用的な理由のひとつに、PAなどの長距離アナログ転送時のノイズ耐性がありました。トランスフォーマーはコモンモードノイズを物理的に遮断する構造を持つため、長いケーブルランでのS/N比確保に有利とされていたのです。しかし近年はPAシステムのデジタル化が急速に進み、Danteや MADI・AES50 といったデジタル転送が現場の標準となっています。デジタル伝送ではノイズの問題が根本的に異なるため、「長距離転送だからトランス入りでなければならない」という理由は以前ほど成立しなくなっています。つまり現代においてトランスフォーマー搭載モデルを選ぶ理由は、実用上の必然性ではなく純粋にそのサウンドキャラクターへの好みと判断で選べる時代になったと言えるでしょう。
C414B-ULSが誇る4つの指向性
C414B-ULSは以下4種類の指向性を切り替えて使用できます。収録するソースやマイキング手法に応じて最適なパターンを選べることが、このマイクの最大の強みのひとつです。
1. カーディオイド(単一指向性)
最もオーソドックスな設定。正面の音を明瞭に捉え、背面の音を効果的に排除します。ボーカル・アコースティックギター・管楽器など、単一ソースのレコーディングでファーストチョイスになる設定です。
2. ハイパーカーディオイド(超単一指向性)
カーディオイドよりさらに指向性を絞った設定。サイドの音の被りを最小限に抑えたいときに有効です。
3. オムニ(無指向性)
全方位から均等に音を拾います。アンビエンスの収音や、ルームマイクとしての活用に適しています。室内の空気感や響きを記録したいシーンで真価を発揮します。
4. フィギュア・エイト(双指向性)
マイクの正面と背面の両方向から音を拾い、サイドを最もカットする設定です。MS(Mid-Side)マイキングやブルームフィールドマイキングなど、高度なステレオ収音技法に欠かせない指向性です。
RED IGUANA STUDIOにおける活用シーン
今回、C414B-ULSを2本(ステレオペア)で導入したことにより、当スタジオのレコーディングの幅が大きく広がります。
ドラムオーバーヘッド:ステレオイメージの核心を担う
2本を使ったドラムオーバーヘッドは、C414B-ULSが最もその本領を発揮する使い方のひとつです。シンバルのきらびやかさ、スネアの上鳴り、ドラムセット全体の奥行きと定位——それらをフラットかつ豊かに記録するために、このマイクのペアは非常に理想的な選択肢です。XY・ORTF・スペースドペアなど様々なマイキングに対応できます。
ピアノ:複雑な倍音構造を余すなく
グランドピアノのレコーディングにおいても、C414B-ULSは世界中のスタジオで「定番」と位置付けられています。ダイナミックレンジが広く繊細な高音域から豊かな低音域まで、ピアノという楽器の複雑な倍音構造を正確に記録できる点で、このマイクの優位性は際立ちます。
ボーカル・アコースティック楽器:自然な音像のリファレンスとして
C414B-ULSは誇張のない素直な再現性を持つため、ボーカルや弦楽器、アコースティックギターのナチュラルな音像を収録するのにも適しています。特にトランスフォーマーがもたらす密度感は、ボーカルのレコーディングにおいてデジタルの冷たさを感じさせない温もりを加えてくれます。
MS(Mid-Side)マイキング:高次元のステレオ録音
フィギュア・エイト指向性を活用し、C414B-ULSをサイドマイクとして使うMSマイキングは、位相の整合性に優れた自然なステレオ収音を実現します。コーラスのダブリング録音や、空間感を精密にコントロールしたいセッションで威力を発揮します。
「あらゆるソースで及第点以上の結果を出す。そして、経験を積めば積むほどその奥深さに気づく。」
それがプロのエンジニアたちがC414B-ULSを手放せない理由です。当スタジオでも今後のセッションにおいて中心的な役割を担う存在になると確信しています。試聴も可能ですので、お気軽にご相談ください。
特長(メーカーサイト抜粋)
比較マイクロフォンテストのリファレンスマイクとして、また世界中で最も使用されているコンデンサーマイクのひとつとして知られる大型ダイアフラム・コンデンサーマイクロフォンです。
- コンデンサーマイクロフォン(ラージダイアフラム)
- 4種類の切り替え可能な指向性:カーディオイド、ハイパーカーディオイド、オムニ、フィギュア・エイト
- 周波数特性:20Hz〜20kHz
- 自己雑音:14dB-A
- ダイナミックレンジ:126dB
- 最大音圧レベル:140dB SPL(パッドなし)/ 150dB SPL(-10dBパッド使用時)/ 160dB SPL(-20dBパッド使用時)
- プリアッテネーション:-10dB / -20dB(切り替え式)
- バスカットフィルター:2段階(切り替え式)
- コネクタ:XLR3ピン(オス)
- 電源:ファンタム電源(P48)
- トランスフォーマー:搭載(出力トランスフォーマー)









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